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エンベデッドシステムスペシャリスト試験に一発合格した話|勉強法・午後Ⅱ論述対策

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令和7年度(2025年度)秋期のエンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格しました。
ただ、試験が終わった時点では、合格できた感触はほとんどありませんでした。なぜなら、イレギュラーだらけだったからです。


午後Ⅰでは超小型人工衛星の問題に苦戦し、午後Ⅱの論文は所定の文字数をわずかに超えた程度です。もう駄目だろうなと思いながら最後まで受けた試験だったので、合格を確認したときはかなり意外でした。

この記事では、組込み開発から離れて5〜6年ほど経ってから受験した理由、使った参考書と勉強方法、ChatGPTを使った午後Ⅱ対策、試験当日の様子を振り返ります。いわゆる最短合格法ではなく、過去の経験を何か形に残したくて受験した記録です。

そもそも、組込み開発経験者だったということで、資格コレクターの方はすみません。

目次

組込み開発から離れてから受験した理由

いぬやま

組込み開発現場はブラック

メーカーに入社してから約4年間、コンシューマー向けの製品を開発していました。当時はかなり忙しく、月に1回程度は休日出勤があり、繁忙期には月4回になることもありました。資格の勉強をしようという余裕はありませんでした。

その後、社内公募を利用してDX部門へ異動し、組込み開発の実務から離れました。気付けばDX部門で過ごした期間が5〜6年ほどになり、製品を開発していた期間よりも、その後のキャリアの方が長くなっていたのです。

今の仕事に直接必要な資格ではありませんし、会社から積極的に取得を勧められていたわけでもありません。それでも、以前は自信を持って取り組んでいた組込み開発について、自分が何をやってきたのか、何か形に残る証が欲しいと思うようになりました。

現職で役に立ちそうなデータベーススペシャリストやネットワークスペシャリストなどを眺める中で、エンベデッドシステムスペシャリスト試験を見つけました。過去の経験を客観的に示せて、将来は履歴書にも書ける。今の業務のためというより、以前のキャリアを自分の中で回収するような気持ちで受験を決めました。

令和7年度秋期試験の結果と試験形式

いぬやま

受験者の少ないレア資格

受験したのは、2025年10月12日に実施された令和7年度秋期試験です。IPAの発表によると、エンベデッドシステムスペシャリスト試験の応募者数は1,696人、受験者数は1,156人、合格者数は177人、合格率は15.3%でした。

試験時間形式解答数
午前Ⅰ50分四肢択一30問
午前Ⅱ40分四肢択一25問
午後Ⅰ90分記述式2問から1問
午後Ⅱ120分論述式3問から1問

午前Ⅰの免除は利用せず、朝から午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱのすべてを受験しました。知識問題だけでなく、初見のシステムを読み解く記述式と、自分の経験を題材にする論述式まであり、丸一日かかる試験です。

使った参考書と勉強の進め方

申し込みをした7月頃から勉強を始めました。最初に書店で購入したのが、牧隆史さん、松原敬二さん、満川一彦さんによる『情報処理教科書 エンベデッドシステムスペシャリスト 2024~2025年版』です。

最初は1日20ページ程度を目安に読み、忘れていた基礎知識を復習しました。組込み開発の経験があるとはいえ、実務から離れてかなり時間が経っています。知っているつもりだったことを、もう一度言葉や図で整理する時間になりました。

一通り読んだ後は、午前と午後の過去問題へ移りました。試験が近づいてからは、過去問演習と午後Ⅱの論述対策が中心です。特別な裏技があったわけではなく、基礎を戻して、過去問で問題の出方に慣れるという、かなり普通の進め方でした。

今年度以降版も販売されています。
フリマでそこそこの値段で売却できるので、書籍版がおすすめです。(受かったら出品しましょう)

2025年は午前Ⅰは見慣れない問題が多い印象

いぬやま

体感、半分くらい退出していった

IPA試験の午前問題は、過去に出題された問題が再び出ることもある(というか、それがほとんど)ため、過去問演習が基本になります。ただ、今回の午前Ⅰは、自分には初見に感じる問題が結構ありました。

SNSでも新しい問題が多いと話題になっていた記憶はあります。
過去問だけ覚えれば大丈夫という手応えではなく、基礎知識を理解しておく必要があるなと感じました。

午後Ⅰは「超小型人工衛星」に苦戦

いぬやま

ついに宇宙。

午後Ⅰで選んだのは、問2の「超小型人工衛星」です。まさか宇宙が出てくるとは思わなかった、というのが最初の感想でした。
過去問だと、害獣撃退システムやパワーアシストスーツ、スマート重機など、比較的ありそう感のある題材がメインでした。

エンベデッドシステムスペシャリストの午後Ⅰでは、実際には触れたことのないシステムでも、長い問題文から構成や動作を理解しなければなりません。センサーの検知範囲や動作時間、通信速度とデータ量など、与えられた仕様をつなぎ合わせて考える必要があります。組込みの知識だけでなく、読解力と計算力も使う問題でした。

解いている最中は非常に難しく感じ、もう一方の問題へ変更することまで考えました。ただ、そこから新しい問題を読み直すのも怖いんですよね。結局、そのまま超小型人工衛星の問題を解き切りましたが、手応えはありませんでした。

試験後に公表されたIPAの午後Ⅰ採点講評では、問2全体の正答率は「平均的」とされています。一方、通信の開始・停止に関する通知を問う設問は正答率がやや低く、地上通信タスクの優先順位を考慮する設問は正答率が低かったとのことでした。

公式には問2全体が特別に低い評価だったわけではありません。とはいえ、試験中の自分にはそんなことは分からないので、この時点では不合格をかなり覚悟していました。

午後Ⅱは担当していた製品の流用開発を題材に

いぬやま

心折れそうだったのギリギリの文字数で

午後Ⅱでは、問2の「流用可能な設計資産」を選びました。過去に製品を開発していたとき、流用開発によって、流用元の製品では顕在化していなかった不具合を見つけた経験があります。本番では、その経験を題材にしました。

かなりグロい展開だったので、ここでは書けないことだらけです。ただ、どのような背景があり、何が問題になり、どのように対応し、そこでどんな技術的判断をしたのかという流れは、自分の中に残っていました。

IPAの午後Ⅱ採点講評では、一般論にとどまり、具体的な製品の技術的特徴が述べられていない論述や、設計書について記述していない論述が見られたとされています。自分は流用開発で実際に起きたことをベースにしたので、少なくとも具体性を求める方向とは合っていた可能性があります。(リアリティがありすぎて、採点者を泣かした可能性すらありました。)

午後Ⅱでは抽象的な正解を考えるより、自分が経験した製品やプロジェクトを棚卸ししておくことが大切だと感じました。

ChatGPTは論文の予想屋ではなく練習相手

いぬやま

これまで、小論文の回答例は問題集を買うしかなかった

午後Ⅱの論述対策にはChatGPTも使いました。過去の論述テーマから回答例を作ってもらったり、次の試験で出そうなテーマを予想してもらったり、未知のテーマならどう構成するかを考える材料にしたりしました。

ChatGPTはAIに関係するテーマも予想していましたが、実際の出題は流用可能な設計資産でした。予想は見事に外れています。まあ、未来の試験問題まで分かるわけではないので、そこは当然なんですが。

役に立ったのは、予想そのものではなく、知らないテーマに対して論文の骨格を作る練習ができたことです。生成された文章を暗記するのではなく、設問に対して背景、課題、判断、対応、結果をどう並べるかを見る。さらに、自分の実務経験のどれが使えそうかを考える相手として利用しました。

手書きの午後Ⅱは想像以上に大変

いぬやま

手が痛い

私が受験した2025年度秋期試験はペーパー方式で、午後Ⅱの論文も手書きでした。普段はキーボードで文章を書くため、長文を手で書き続けるだけでもかなり疲れます。誤字を直すにも時間がかかり、書き直すほど用紙も見づらくなっていきます。

本番で書けたのは、所定の文字数をわずかに超える程度でした。内容を考える力とは別に、制限時間内に必要な量を手書きする練習も必要だったと思います。最後の方は、論文の出来よりも、とにかく書き切ることで精いっぱいでした。

IPAは、2026年度から高度試験をCBT方式で実施する予定としています。キーボードとマウスを使って解答する方式になり、午後Ⅰ・午後Ⅱはそれぞれ科目B-1・科目B-2という名称になります。一方で、問う知識・技能の範囲、記述式・論述式という出題形式、出題数、試験時間は変更しないと案内されています。

手書きの負担は変わりますが、自分の経験を整理し、設問に沿って文章を組み立てる必要があることは変わらなさそうです。これから受験する方は、IPAのCBT方式に関する最新情報を確認してください。

試験当日は、だんだん人が減っていった

試験会場は大学でした。エンベデッドシステムスペシャリストの受験者はほかの区分より少ないのか、少し離れた講義棟に集められているような印象がありました。教室は複数に分かれていましたが、後方には使われていない席もありました。

午前Ⅰでの大量退出のあと、午前から午後へ進むにつれて、人が少しずつ減っていったことも覚えています。帰った理由は本人にしか分からないので、試験を諦めたとは言い切れません。ただ、午後Ⅰの手応えがなかった自分も、午後Ⅱを受ける前にはかなり気持ちが折れていました。

それでも、ここまで来たので最後まで受けることにしました。午後Ⅱは最低限の文字数をどうにか書き終え、合格した感触がないまま会場を後にしました。

不合格だと思いながら見た合格発表

いぬやま

まさかの合格

合格発表は2025年12月25日でした。年末年始で実家に帰っていたタイミングに結果を確認しています。「一応見ておこう」くらいの気持ちで開いたところ、結果は合格でした。

午後Ⅰの手応えはなく、午後Ⅱも文字数ぎりぎりです。まあ落ちているだろうと思っていたので、かなり驚きました。嬉しかったので、自分へのご褒美としてジャケットと靴を購入しました。それくらい予想外だったということで。

組込み開発から離れても、当時経験したことがなくなったわけではありませんでした。午後Ⅱで開発経験を書きながら、忙しかった時期の出来事も、技術者として積み上げたものとして残っているのだと感じました。

これから受験する人へ

いぬやま

小論文はぶっつけ本番は無理、経験がないと一般論に落ち着いてしまう説

合格体験記らしい近道は、残念ながらありません。基礎知識を整理し、過去問を解き、初めて見るシステムを短時間で読み解く練習をする。結局はその積み重ねでした。

午後Ⅱについては、参考書の解答例を読むだけでなく、自分の実務経験をいくつか棚卸ししておくのがおすすめです。うまくいった経験だけでなく、不具合、判断に迷ったこと、設計を見直したことなども材料になります。製品名や機密情報を出さなくても、課題と技術的な判断を具体的に説明できる形にしておくと、複数のテーマへ応用しやすくなります。

講評にもありますが、小論文が一般論に落ち着いているという旨が書かれており、やや運営側の期待するもののレベルが高い印象もありますが、やはり実務経験者のリアリティのある小論文が提出されてくる以上、採点者視点としてはどうしても、他の受験者との差別化といった部分も考えておく必要はありそうです。自分のものは文字数ギリギリではありましたが、相当内容は濃かったと自認しているので、採点者を怖がらせる勢いでストーリーを組む(リアリティを感じさせる方向へ再構成する)スキルも必要かもしれません。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、知識を覚えているかだけでなく、その知識と経験を使って目の前のシステムをどう理解し、どう説明するかを問う試験でした。組込み開発から離れて時間が経っていたからこそ、以前の仕事を振り返るきっかけにもなったかなと思います。
組込みエンジニアとして、”諦めないこと”が結局のところ、最強かつ求められるスキルなのかもしれませんね。

参考資料

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